最近、⽶国特許商標庁(USPTO)の審査運⽤に変化があり、仮(placeholder)クレームのみを⽤いた継続出願は、従来よりもリスクが⾼まっています。
詳細や実務上の影響、および今後の出願戦略における推奨対応は、以下の通りです。
■ 審査運⽤の変化
1. 仮クレームを含む継続出願で「First-Action Final」が急増
継続出願に実質的なクレームが含まれず、仮クレームや特許性が明らかにないクレームのみの場合、最初の審査結果がいきなりFinal Rejection(最終拒絶)となる案件が増えています。
これは MPEP §706.07(b) に基づく運⽤であり、USPTO としては正当な対応とされています。
2. “審査開始までの猶予期間” の消滅
USPTO 内部の運⽤が厳格化され、継続出願が即座に審査官へに割り当てられるようになりました。
以前は、出願⼈が予備補正で本番のクレームを準備する時間を確保できるようにするため、審査チームで、継続出願を1〜2 か⽉ほど保留する⾮公式な慣⾏がありましたが、こうした慣⾏は今ではほぼ消滅しています。
■ 実務への影響
上記の変更により、従来のように仮クレームで時間を稼ぐ⽅法では、First-Action Final を受ける可能性が⾼く、その場合は実質審査を⾏うために RCE が必要となるリスクがあります。
⼀⽅で、実質的なクレームを揃えて継続出願する場合にはメリットもあります。
審査開始が早まったことにより、ファーストアクション到達までの期間が短縮され、特許化までの期間短縮が期待できます。
■ 今後の推奨対応
・継続出願時点で、可能な限り実質的なクレームセットを提出することが望ましいとされています。
・出願時にクレームが未確定の場合は、出願後2 週間以内に予備補正でクレームを提出することが推奨されています。
・ Final を避けるため、次のいずれかの⽅法が有効とされています:
- 親出願とは異なる範囲を持つ独⽴クレームの作成
- 許可クレームを独⽴形式に書き換える
■ まとめ
昨今の審査運⽤の変化により、仮クレームでの“低リスク継続出願”という選択肢は実質的に使えなくなりました。
⼀⽅、継続出願の審査は迅速化しており、準備が整った継続出願では、早期に特許を取得できる好機となる可能性があります。
今後のUSPTO における継続出願戦略は、これらの変化を踏まえ、慎重に設計することが重要となります。
参考情報
・Xsensus IP Law, “USPTO Shift in Examination Practice and Best Practices Going Forward”
https://www.xsensus.com/uspto-shift-in-examination-practice-and-best-practices-going-forward/
・USPTO, Manual of Patent Examining Procedure (MPEP) §706.07(b)
Final Rejection, When Proper on First Action
https://www.uspto.gov/web/offices/pac/mpep/mpep-0700.pdf